糖尿病の慢性合併症【大血管障害】
こちらのページは糖尿病の慢性合併症【大血管障害】についてまとめています。大血管障害
糖尿病の慢性合併症のうち、太い血管にみられる合併症のことを「大血管障害」と言います。大血管障害は、高血糖によって太い血管の動脈硬化などが進行し、それによって引き起こされる「脳梗塞」「心筋梗塞」「閉塞性動脈硬化症」などを指します。
「動脈硬化」とは、太い血管の内膜にドロドロとした粥状物質が溜まり、血管壁が厚くなったり、硬くなったりして血液の流れが悪くなる症状のことを指します。
太い血管は脳や心臓といった身体の中でもっとも大切な部位器官を支えるものですから、これが上手く機能しなくなると命に関わります。大血管障害は多くの場合、身体に障がいや後遺症を残したり、最悪のケースでは死に至るということを理解しておかなければなりません。
動脈硬化による合併症
脳のある部分で血液の流れが止まってしまい、必要な血液を得られない箇所の脳細胞が死んでしまうことを「脳梗塞」と言います。
脳の細胞はほとんど再生しないので、脳梗塞で失われた機能は戻らないことが多く、後遺症が残ってしまう病気です。
糖尿病患者の脳梗塞発症率は、糖尿病でない人に比べて2~4倍高いと言われています。
脳梗塞の発作が起きると、半身の手足がしびれたり、動かしにくくなる、ろれつが回らない、言葉がなかなか出てこない、片方の目が見えにくいなどの症状があらわれます。これらの症状が突然現れたら、躊躇せずに救急車を呼ぶことが大切です。
心臓に栄養や酸素を運ぶ血管の動脈硬化が進み、血流が完全に途絶え、心筋の一部の機能が失われた状態を「心筋梗塞」と言います。
糖尿病患者の心筋梗塞発症率は、健康な人の3倍以上で、突然激しい胸の痛み、圧迫感、息苦しさ、動悸などに襲われるのが特徴です。
足の太い血管に動脈硬化が起こり、歩行困難となる状態を「閉塞性動脈硬化症」と言います。
悪化すると、やがて潰瘍、壊疽(えそ)を起こして、場合によっては足を切断することもあります。
糖尿病患者の閉塞性動脈硬化症発症率は、健康な人に比べ、10~15%高い割合となります。