血糖値が上がる原因と下げる方法
過労、過食、運動不足、ストレスやアルコールの飲み過ぎなど、現代人の生活そのものが原因となって引き起こされる現代病の典型「糖尿病」。その患者・予備軍は、現在、成人の「6人に1人」とも言われています。この病気の怖いところは、初期のうちはほとんど自覚症状がないこと。そのため、健康診断や血液検査で初めて「血糖値が高い」「高血糖」と指摘され、「まさか自分が糖尿病の予備軍に?」なんて驚いたという方も多いのではないでしょうか。
「高血糖」というのは、血液中に糖が過剰に存在している状態を指します。しかし、食事を摂った後や長時間のスポーツをした後など、身体の状態に応じて血糖値は大きく変動しています。健康な成人であれば、通常食後1時間程で血糖値は上昇し、その後2~3時間程かけて食前値に戻ります。
多くの病院では食前(空腹時)に血液検査を行い、その正常値を70~110mg/dl未満に設定しています。ただし、検査施設によっては126mg/dl未満であったり130mg/dl未満であったりと、僅かに数値が変わります。また、食前に血糖値が180mg/dlを上回る場合には、糖尿病の疑いがかなり高いと言えます。反対に70mg/dlを下回る場合、低血糖の疑いが高いと言えるでしょう。
健康診断で指摘を受け、初めて血糖管理・自己測定をされるという方の中には、測定器の説明書など、どこを読んでもこの「正常値(基準値)」が示されていないため、正しく測定出来ているのか、分からず悩んでしまう方もいらっしゃると思います(管理人がそうでした!)。そんな時にはこちら「食前(空腹時)に70~110mg/dl」をひとつの目安にしてみて下さい。
遺伝が原因で起こる「高血糖」
「両親や祖父母に糖尿病の人がいると、その人も糖尿病になる」という話を聞いたことがありませんか?これはあながち間違いではありません。もちろん、糖尿病の発症には生活習慣が大きく影響していますから、ご両親が糖尿病だからと言って必ずしもそうなるとは限らないでしょう。しかし現実に、両親共に糖尿病である方の約半数が、65歳を迎えるまでに糖尿病を発症しているという統計も出されています。これは、「インスリンというホルモンの分泌量が人よりやや少ない」という身体の構造が、「遺伝的なもの」であるためです。
インスリンとは、食事によって上昇した血糖値を元に戻す働きを持つホルモンで、「すい臓」という臓器から分泌されています。このインスリンの分泌量が少ないと、上昇した血糖値がなかなか元に戻らず、「高血糖」や「糖尿病」が引き起こされやすくなってしまいます。
また、日本糖尿病学会という機関が、2007年、「日本人と欧米人のインスリンの分泌量の違い」を比較したデータを発表しました。そこには、そもそも日本人は、欧米人の二分の一程のインスリン分泌能力しか持っていないということが示されていました。これも、広い意味では「遺伝的要因」であると言えるのではないでしょうか。
運動不足が原因で起こる「高血糖」
先程の章では、食事により上昇した血糖値を元に戻すためにインスリンというホルモンが分泌されることを簡単にご説明させていただきました。では、具体的にどのような働きをもって、血糖値の上昇を元に戻してくれるのでしょうか。こちらの章ではもう少し詳しく、そのことに触れてゆきたいと思います。
血糖値が上昇すると、インスリンは、まず「GULT4(糖輸送担体)」という蛋白質に、血液中の余分な糖を、骨格筋や心筋など、それをエネルギーとして必要としている組織に運ぶように命令を下します。するとこの「GULT4(糖輸送担体)」が、インスリンに応答するかたちで、血液中の糖を細胞内へと取り込みます。こうして、血液中の糖の値は常に一定に保たれるようになっているのです。
これが運動不足により、筋肉量が少ないと、まずはこの糖を取り込む容量が少なくなり、「GULT4(糖輸送担体)」の働きが鈍くなります。また肥満体型で脂肪細胞が大きいと、その肥大脂肪細胞より多く分泌される「遊離脂肪酸」や「TNF-α」という物質が、インスリンそのものの作用効果を低下させます。更にこの肥大脂肪細胞は、インスリンの働きを促してくれる「アディポネクチン」という物質の生産を抑えてしまうという特徴もあります。
このように、運動不足による筋肉量の減少や肥満のために、インスリンが効きにくくなってしまった状態のことを、「インスリン抵抗性症候群」といいます。現在、「高血糖」にお悩みの方のほとんどが、この「インスリン抵抗性症候群」によるものであると言われています。
食事制限によるストレス
血糖値を上昇させる原因としてまず始めに思いつくのが「毎日の食事内容」ではないでしょうか。
食材・食品の種類、調理法、食べる順番など、食生活が原因で起こる血糖値の上昇に関しては実に様々な見解・考え方があり、それを提唱する専門家や医師、根拠となる論文、書籍、中には相反する主張や批判があることもあります。
管理人も、食事に関しては本当に沢山の本を読みましたし、色々試したりもしました。これを今読んでくださっている方も、もしかしたらもう既に、一日に摂取していいカロリーを決め、野菜を食べ、お酒もやめ、焼き魚やきんぴらごぼうといった和食中心の食生活を送っていらっしゃるかもしれませんね。
しかし、この食事管理、思った以上にストレスが溜まります。三度の食事時はもちろん、一日の大半を、献立を考えるのに使うことになります。また、好きだったものが食べられなくなる、これも相当につらいことです。
何より、強いストレスはアドレナリンの分泌を促します。アドレナリンには、血糖値を上昇させてしまう作用があるのです。つまり、食事制限を頑張っても、そのストレスで血糖コントロールが難しくなるという悪循環なのです。
食生活の見直しによる血糖管理は、もちろん大切です。けれど、決してストレスを溜めないで、頑張り過ぎないで、ということです。これを踏まえた上で、ぜひ次の章へお進み下さい。
血糖値を下げる方法
血糖値を下げるために最も重要な考え方は、先ず「食事の際に血糖値を急激に上昇させない」ということです。これにより、インスリンの分泌の遅れや、一度に大量に分泌させてしまうことを防ぎます。
そのために大切なことは、ゆっくりと、よく噛んで食べること。単純ですが、一気に食べると、それだけ血糖値も急激に上昇します。また、早食いは脳が満腹を感じるまでに食べ過ぎてしまうことから、肥満の原因とも言われています。
ゆっくりと食べるコツは、フォークやスプーンではなくお箸を使うこと、口に物が入っている間はお箸を置くことです。また、噛む回数の目標は、少なくとも20~30回。どうしても噛めずに飲み込んでしまう人は、始めのうちは目を閉じて噛んでみて下さい。管理人はこの方法で、早食いを改善することができました。
次に押さえておきたいのは、「血糖値の上がりにくい食品を知る」こと。これについては、次の章で詳しくお話させていただきます。
血糖値が上がりにくい低GI食品とは
以上のことが理解できたら、今度は「血糖値の上がりにくい食べ方」を実践してみて下さい。これについては、こちらの章で詳しくお話させていただきます。
食事の順番で血糖値を下げる!
「血糖値の上がりにくい食品」を知り、「血糖値の上がりにくい食事方法」を実践できるようになったら、次は「血糖値を下げる成分」と「それを多く含む食品」について知りましょう。専門的な知識になりますので、これを知っていれば自分にあった食事療法や適切なサプリメント選びなどができるようになります。
血糖値を下げる成分とそれを多く含む食品・食材
最後に、食事だけでなく、運動も積極的に取り入れてゆきましょう。これについては、こちらの章で詳しくお話させていただきます。
食後血糖値を下げる効果的な運動











